カフカ / ぽんぽこ の話をしよっか

ぽんぽこさんが曲を出した。

 

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正直これを見てくれればいいってだけの話ではあるんだけど、

なんか書きたくなったので書く。

 

甲賀流忍者ぽんぽこ、そして歌

ぽんぽこ、フルネーム(?)「甲賀流忍者ぽんぽこ」は、

ぽんぽこちゃんねるで活動する滋賀発のバーチャルYouTuber(VTuber)。

ゲームの生配信主体の企業系VTuberが隆盛の昨今、

動画を主体にした個人で活動している。

ただし、個人とは言っても一人ではなく「ピーナッツくん」という

相棒とともに動画投稿に励んでいる。

後にピーナッツくんの話も出てくるが、とりあえず、相棒であり兄でもある。

なんで狸と豆が兄妹なのかは一旦置いておいてくれ。

 

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直近の動画でコラボや生配信のアーカイブ以外で伸びているのを貼ってみたが、実写だし何より着ぐるみだしで余計説明になってない感じになってしまった。

動画の内容は上記のような着ぐるみ、グルメ、百均以外にもホラー、VR、サウナ、ドッキリなど多岐・多次元に渡っている。(過去にはガチ狩り動画まであった。)

そして今回の話の主になる歌だが、ほとんど動画・生配信のアーカイブがない。

VTuberはコンテンツとして、再生数が伸びやすい「歌ってみた」やカラオケ生配信など、歌唱力の程度に問わずに公開しがちだ。

しかしぽんぽこチャンネルにはそういったものがほぼ無い。

下記に何百本ある動画から歌関係のものをオリジナル曲以外でまずピックアップしてみた。(もちひよこさんのチャンネルからのリンクも足した)

 

・カバー/コラボ系

ぽんぽこがやってきたぞっ / ぽんぽこ【歌ってみた】 - YouTube

【MV】劣等上等 / もちぽこ【歌ってみた】 - YouTube

ミニモニ。ジャンケンぴょん!歌ってみた 【てぇてぇトレイン】 - YouTube

ハッピーウェディング前ソング (もちぽこver.) - ヤバイTシャツ屋さん - YouTube

 

・ネタ系

【ギャップ惚れ注意】え…?お前…歌うまいの? - YouTube

【ラップバトル延長戦】MCぽんぽこ vs ピーナッツくん - YouTube

夜に駆ける/YOASOBI 歌ってみたら邪魔が入ってきた【THE FIRST TAKE】 - YouTube

香水 /瑛人 covered by ぽこピー - YouTube

うっせぇわ / Ado 歌ってみたら邪魔が入ってきた【THE FIRST TAKE】 - YouTube

 

下3つに至ってはぽんぽこさんはほぼ歌ってない。

生配信の中には歌っているものもあったが、アーカイブは非公開になっている。

ただし、公開されたアーカイブに確実に歌っている場面が残っているものがある。

それが「ぽんぽこ24」だ。

 

ぽんぽこ24、そして歌

「ぽんぽこ24」とは先頃にも開催されたもはやVTuberの祭典と呼んでも過言ではないYouTube上で24時間配信される人気企画だ。

ぽんぽこ24自体の歴史や内容については端折るが、この生配信の最期には相方であるピーナッツくんとの生歌やPVの公開が定番になっている。

※ぽんぽこ24の情報は下記のサイトを参照させてもらいました。

ぽんぽこ・ピーナッツくん非公式Wiki

 

第1回 ※収益化の関係でピーナッツくんチャンネルで放送されている。

【ぽんぽこ24時間生放送】第8部〜20:00まで - YouTube

こちらでお分かりの通り、本人は恥ずかしさと24時間を達成したことの感動であまり歌えていない。ちなみにギターはぽんぽこが弾いている。

 

第2回 ※諸問題が発生したためアーカイブ化が遅れぽんぽこのツイートからのみ飛べる限定公開になっている。

【24時間生放送】5.5枠目~FINAL ぽんぽこ24 リターンズ #ぽんぽこ24 - YouTube

お気づきの通り、MONGOL800の「小さな恋のうた」を歌うことが定番になっている。

 

第3回 ※何故か曲の音質がプツプツしている。

夏だ!祭りだ!24時間だ! #ぽんぽこ24 vol.3 第3部 - YouTube

こちらは後で説明するオリジナル曲「言の葉の歌」をPVに合わせ生で歌っている。

 

第4回 

【24時間生放送】第3部 #ぽんぽこ24 vol.4 あつまれパーリナイッ!! - YouTube

こちらは後で説明するオリジナル曲「はなとなり」のPVが初公開された。

 

第5回

【24時間生放送】第3部 #ぽんぽこ24 vol.5 熱血! - YouTube

そして今回のぽんぽこ24で「カフカ」が公開された。

 

カフカ、そしてタイトル

まずタイトルだが、初めに浮かぶのは「変身」の作者として有名なフランツ・カフカだ。

ぽんぽこも以前から字面としては知っていたとは思うが、改めて認識したと思われるのはn-buna氏に生配信作詞・作曲をしてもらっていた下記の配信だと思われる。

【24時間生放送】2枠目 ぽんぽこ24 リターンズ #ぽんぽこ24 - YouTube

※流れでほぼシシド・カフカの話をしている。他の配信でもぽこピーに対してn-buna氏がカフカの変身について語っていた回があったと思う。

カフカの小説や経歴は、後の創作者へ多大なる影響を与えている。

が、裏に込めた意味合いとしてそういった要素もあるとは思うが、不条理な世界観や閉塞感などは強く出た作品ではない。

他に「カフカ」として出てきたのは「鹿深(かふか)」だった。

これはTwitterだったかで見かけて少しググると出てきたのだが、甲賀の地名の由来として鹿深臣という存在が関わっているということだ。(日本書紀にもそう書かれている。)

甲賀流忍者として活動してきたぽんぽこ。途中でチャンネルから「甲賀流忍者」というのは抜いたが、滋賀県甲賀市で活動していることは常に発信している。

 

カフカ、そして曲

カフカの作曲者は「Epoch」氏。

ぽんぽこが以前からボカロPとして好きで追っていた人物のうちの一人で、曲を頼むならこの人と決めていたとのことだ。

Epoch氏は「月詠み」のギタリストとしても活動しているということもあって、爽やかなギターロックとして曲が仕上がっている。

ちなみにiTunesのジャンルはロックになっている。

 

カフカ、そして詩

作詞者もEpoch氏だが、こちらはぽんぽこ本人が対話の上で自分をさらけ出して話した内容を咀嚼し生み出されたとのことだ。

詩の中には外面的に知ることができる活動の話も含まれるが、本人しか知り得ない気持ちが滲んでいる。それが自己肯定感の低さと視聴者含む周りへの感謝だ。

歌詞一行一行を分析している人は他にいると思うので、自分なりに思うところとして書きたいは相棒そして(ご主人さまが)兄であるピーナッツくんとの違いと共通点だ。

 

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ぽんぽこは自身のことを「どうせ辛いなら、不器用なままでいたい。」や「謝る癖、ずっと空っぽな僕」と今回の歌詞でも出したり、自分は何もできないと度々言うくらい自信がない。

対してピーナッツくんは弱音を吐くことはもちろんあるが、アーティスト、クリエイターとしての矜持があり、「ぼくは超ヤバイ 努力人の倍」とも歌詞に出す。

また、ぽんぽこは「どんな言葉を貰った?何を返せたんだろうか。」や「伝えたいのはありがとうばかりだ。」と周りへの気遣いや「暗い話はポケットの中に隠したままでいい。」と嫌な部分は自分の中で受け止めようという姿勢が見て取れる。

ピーナッツくんは上記の「Drippin' Life」でも「あいつらえばって何もしてない」や「出る杭がもっと出て黙らす外野」と視聴者含め界隈へもファイティングポーズをとる。「おねがいマーニー」ではピンハネについて言及したり、モロに批判している「Super chat」や「Ctrl, Alt, Del」(こちらはレオタードブタ名義だが)なども発表していたりする。

 

共通点として出てくるのが、思えば遠くまで来た感だ。

下記の「DUNE!」でも「ただのお散歩のつもりが終わらない遠足」とあるが、カフカには「気づけば僕にはいつか、歩みを止める為の理由なんて、浮かばないほどに季節は移っていく。」と出てくる。

https://youtu.be/fwQpRzpv_rI?t=208

また、儚さを受け止めながらも前へと進んでいくという強い気持ちも共通している。

カフカでは「夢なんかいつか覚める、なんて、どうでもいいよ。」とあるが、ピーナッツくんは「日々が走馬灯」と叫ぶ。

そして、「飽きるまで笑おうぜ」に対し、「面白くて急死」と共通してるんだかしてないんだか分からない終わりまで楽しむことへの意志が見られる。

 

あと「拝啓、旅人、夜を歩む人。いつかどこかでまた逢える日を。」についてはシーンを去っていったVTuberにも向けられているのかなあと思われ、「幽体離脱 feat.チャンチョ & ぽんぽこ」の歌詞も想起させられる。

幽体離脱 feat.チャンチョ & ぽんぽこ (Official Lyric Video) / Album "False Memory Syndrome" - YouTube

 

歌詞についてはあとラストの連続的な表現に触れたい。

「告白のような」

おそらく上記でリンクを貼った「小さな恋のうた」?


「強がりのような」

おそらく上記でリンクを貼った「劣等上等」?


「言の葉のような」

上記でn-buna氏に作曲ファンからの言葉を拾い作詞してもらった「言の葉の歌」

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「はな唄のような」

上記ぽんぽこ24で初公開されたロテ氏作詞・作曲のファンメイドのPVがつくられた「はなとなり」

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カフカ、そしてMV

MVの制作にはまるばってん氏、咎白いく氏、すいしん氏によって行われている。

こちらはEpoch氏からの関係などで集められたとのこと。

映像表現の解釈についてあまりにも語る能力がないため、あまり言えることはないのだが、このMVは全体として青い色調で描かれたアニメーションで構成されている。

出てくる登場人物は少年、少女、くらげみたいな存在、一瞬映るぽんぽこのみだ。

歌詞の一人称が僕だから僕=少年=ぽんぽこになる前の存在、だとすると時折出てくる君=少女=ぽんぽこと単に解釈するんだろうけど、手紙のようなものを渡しているところを考えると少女は兄ぽこも重なった存在とも思えてくる。

 

カフカ、そして歌声

最期に歌声について触れたい。

ぽんぽこ本人は歌は下手だと思っているようだ。

確かに歌には上手い下手が存在する。声量、音程、音域、リズム感、など磨けばなんとかなるものから変えようのない声質やセンスにかなり関わる表現力などがある。

ぽんぽこの歌声は確かにか細い部分がある。おそらく生で歌っているところを見る限りは音程や音域、リズム感も一般的なものと思われる。

ただ、この声質は唯一無二と言ってもいいと思う。少年のような真っ直ぐさ、少女のような儚さを持った声から紡ぎ出される歌声は本当の気持ちを歌っているように感じられ、心に染み入ってくる。

もちろんミックスにより調整はされているのだろうが、少し低い音程の箇所の微かな震えなんかは何物にも代えがたいものと思える。

ぽんぽこが好きな花譜やジブリの曲を思わせる「素」の空気感を持っている。

 

 

なんだかだらだらと書いたが、良い曲だから聴いてねってことが言いたかっただけ。

 

カフカの一番有名な作品「変身」で、毒虫へと変貌を遂げたグレゴール・ザムザは初めは妹の介護もあったが、父親からのりんごの一撃、母親からの逃避もあり、最期には妹にも見捨てられそのまま孤独の中死んでしまう。

ピーナッツくんのご主人さまはピーナッツくんへと変身を遂げ、妹までぽんぽこという存在へ変身させてしまった。

彼等はこの先どうなってしまうのか。

YouTubeという「城」に翻弄され、「審判」のように消されてしまうのか。

今はまだ「失踪者」のようにネットの新世界を彷徨っている。