Tele倶楽部/ピーナッツくん マジでTele倶楽部だった。
ピーナッツくんの2ndアルバムがリリースされた。
Tele倶楽部 by ピーナッツくん - TuneCore Japan
お聴きください。どうぞ!(タモリの横の女子アナ)
くらいでいいんだけど、感想を書きます。
全14曲(1曲間奏(奏?)のフルアルバム。
今回はゲスト参加者の多さが特徴的。
Tele倶楽部ってタイトルを初めて見たときは「えっ、そっち?」と。
だってピーナッツくん女性関係は無闇にビッチ扱いするか彼氏持ちから告白された話かクラブで逆ナンされた話しかないやん、と。
言うてゲストに女性が多いからそんな感じなのかなと思っていたが、視聴の時点でどうもそうじゃないらしいと気付き、フルで聴いて「マジでTele倶楽部」やん、と。
Tele倶楽部の曲たち
1.笑うぴーなっつくん
作曲:nerdwitchkomugichan 作詞:ピーナッツくん 編曲:yanagamiyuki
2.School Boy (feat. もちひよこ)
作曲:Anywaywell 作詞:ピーナッツくん 編曲:Yaca
3.風呂フェッショナル (feat. Yaca)
作曲:Ten2kwik 作詞:ピーナッツくん, yaca 編曲:Yaca
4.My Wife (feat. KMNZ LIZ)
作曲:KAWAIIBEATZ 作詞:ピーナッツくん 編曲:衛生録音(玉田デニーロ)
5.messed up! (feat. Marukido)
作曲:pilotkid 作詞:ピーナッツくん, Marukido 編曲:Yaca
6.zakkyobuilding (feat. チャンチョ)
作曲:rawkid 作詞:チャンチョ 編曲:Yaca
7.skit (お姉さん役 野良いぬ)
台詞:ピーナッツくん
8.KISS (feat. おめがシスターズ)
作曲:Lil Gun Beats 作詞:ピーナッツくん 編曲:衛生録音(玉田デニーロ)
9.未来NEXTメシ(ピーナッツくん, やながみゆき)
作曲:yanagamiyuki 作詞:ピーナッツくん, yanagamiyuki 編曲:yanagamiyuki
10.Peanuts in Wonderland
作曲:vilesky 作詞:ピーナッツくん(チャンチョ参加) 編曲:衛生録音(玉田デニーロ)
11.SuperChat
作曲:vilesky 作詞:ピーナッツくん 編曲:yanagamiyuki
12.ぼくは人気者
作曲:ヤギハイレグ 作詞:ピーナッツくん 編曲:Yaca
13.ペパーミントラブ (feat. 名取さな)
作曲:KAWAIIBEATZ 作詞:ピーナッツくん 編曲:衛生録音(玉田デニーロ)
14.Unreal Life (feat. 市松寿ゞ謡)
作曲:nerdwitchkomugichan 作詞:ピーナッツくん 編曲:Yaca
以上、14曲の内訳・分類をするとこうなる。
ぽこピーの本(ぽん)特典「ひみつのMIXTAPE」から4曲、やながみゆき氏とのコラボ曲から1曲、新曲9曲(skit含む)。
別の見方で言うとピーナッツくん(チャンチョ含む)のみ5曲、女性ゲスト7曲、男性ゲスト1曲、初音ミク1曲。
作曲面で言うとType beat9曲、nerdwitchkomugichan2曲、yanagamiyuki1曲、ヤギハイレグ1曲、作曲なし1曲。
作詞はピーナッツくんのみ11曲、Yaca共作1曲、Marukido共作1曲、yanagamiyuki共作1曲。
編曲はYaca6曲、衛生録音(玉田デニーロ)4曲、yanagamiyuki3曲、編曲なし1曲。
といった感じになる。後の話には女性ゲストが多いってとこ以外は特に触れないが、曲はいつものタイプビート中心で一部提供曲があり、詩はコラボ相手のパートを相手が書く分以外は自作って感じで、編曲は3名のプロによってやられてる。
ちゃんと「性」的なやつやん
今回、通して聴いてまず思ったのはそれ。
タイトルのTele倶楽部から連想するのはテレホンクラブ、かなり古い形式の風俗だ。
僕が連想するのはまずテレクラでヤクザが火炎瓶を投げて放火殺人に発展した事件、次にはテレクラキャノンボール(特に見てない)だった。
女性との密室感での逢瀬、パート分けの歌唱によってそれぞれのゲストとの秘密の関係が築かれるような、そんな気がした。
「School boy」は大人な感じの女性と初々しい「ピーナッツくん」の恋の駆け引きが描かれる。お相手の女性は人生二週目幼女の「もちひよこ」氏だ。幼女キャラ、加えて妹の友達にわざわざ大人な女性を演じさせてピーナッツくんと呼ばせちょっとSっ気のあるキャラをやらせる。いや、5歳からしたら10歳は普通にお姉さんでいい…のか?そういや好きなタイプを「頭の良い女性」と言っていたなと思い出す1曲だった。
「My wife」風俗嬢ガチ恋おじさんとしか言えないような歌詞。その風俗嬢役は「KMNZ のLIZ」氏だ。過去に一度KMNZとコラボをしたことがあり、ラップ指導をしたとか。これ言って良いのかあれだが、ある種役として声質とかちょっとリアル感あるしよく頼んだなと思ってしまった。後のV批判的な含みも感じる。
「messed up!」これは都会の情景を描いてることしか分からんかった。こちらは女性ラッパー「marukido」が客演。露骨に性的なことをかわいらしい声で歌ってるがそういう芸風なようで、こちらは相手のフィールドにも合わせた曲という感じがした。二人ともガチなので曲へのラップの乗せ方が気持ちいい。
「skit」台詞パートなのだが、Tele倶楽部を強調するものになっている。声はナナヲアカリのMVなどで知られる「野良いぬ」氏。Vもやっている女性だが、声のギャルっぽさで頼んだのかな。すごいキャスティング力。母や妹にパロディや皮肉満載のアニメの声優を頼むだけある。
「KISS」よく親戚扱いされている「おめがシスターズ」にキスされる曲を頼んだな。おめシス自体とは頻繁にコラボもする仲だが、わざわざ相手に「ピーナッツくん」と呼ばせた上でキス音まで取るという「どういうスタンス?」案件だ。おめシスは歌も得意とするところだが、ほぼ台詞・コーラスとしての参加になっている。歌詞は相手との性的な行為を求めるピーナッツくんってことになってしまうのだが、相手が二人同時に居ると破綻するしなんなんだろう。曲自体は何故か冬を感じた。
「ペパーミントラブ」こちらは割と正統なラブソングになるとは思うが、相手は「名取さな」氏。バーチャルサナトリウムで暮らす新人ナースだ。割とガチ恋もいると思われる相手に対して歌唱を頼んだ曲は性行為があったことが仄めかされる歌詞の曲で今回のアルバムのコラボとしては実は一番攻めているように思える。ペパーミントの通り曲調はかなり爽やか。
このあたりが「性」を感じる曲だった。
VTuberとしての「生」
「Tele倶楽部」要素から先にピックアップしたが、そもそもこのアルバムは界隈に攻撃的な歌詞の曲から始まる。今回もう一つ感じられたのがVTuberとしていかに生きるかという要素だった。
「笑うぴーなっつくん」色々好きな点はあるが「オリジナルもっと出せ2000年代に終わっとけそのノリ」ってところが生主リサイクルに噛み付いてるのかなと。そして曲は銃撃で終わりアルバムは始まる。
「風呂フェッショナル」ピーナッツくんと言えばサウナという感じになってきたが、こちらは風呂の曲である。Yaca氏とのコラボであるこの曲はレゲエっぽい雰囲気も感じられ女性陣との曲と比べると異様なまでにハッピーでピースな仕上がりになっている。
「zakkyobuilding」正直このアルバムで一番好きな曲。ダーティーな曲調とチャンチョのウィスパーボイス、都会を表現する歌詞。かっこいい。とは言っても「落ち着くんだやっぱ人気のないところが」って陰な良さ。
「未来NEXTメシ」やながみゆき氏との共作がこちら。既に急にリリースされた時点で謎だったが、サウナにも行く仲になるくらい近づいたとか。ピーナッツくんとして兄ぽこをディスる、初音ミクとしてやながみゆきをディスる、自己批判が効いた曲。「斜に構えてんじゃねえよ晒せ顔」とは言うものの数回晒しちゃってるんだよなあ。
「Peanuts in Wonderland」オペラ的な曲調に惑わされるが、かなり自己言及がされた曲になっている。「1900何年から記憶されたお前はお前じゃないわ」「2000何年からすべての自由を手にしたぼくらのmy life」VTuberとしてガワをかぶっているのではなく元の存在が「偽りの体」となるグノーシス主義を感じるレベルの意思の強さ。
「SuperChat」既にひみつのMIXTAPEでリリースされていたが、この曲入れちゃうんだってくらいガチV批判曲。露骨に企業系スパチャもりもりVをディスりつつもそれをコントロールしている側も攻撃する。中山功太がV批判ネタをして炎上していたが、芸人としての面白さの優先か知識の曖昧さか世間のイメージに合わせたかは分からないが解像度が少し低く感じた。そこを考えるとかなり露骨な解像度の高さの「記念配信」や「リーク」話、「精神不安定」ある程度界隈を見渡していると出てくる痛さをきっちり描いている。
「ぼくは人気者」「オラはにんきもの」をバックグラウンドにイキリもいれつつも「ぼく」としてのピーナッツくんを歌っている。「デカキン」「ヤギハイ」「ぽん氏」「コモラ」と「笑うぴーなっつくん」での「数少ない友達」たちの名前が出てくる。
「Unreal Life」アルバムラストの曲。ピーナッツくん無限の彼方へ行ったんやな……。VTuberの先端を走る3人のうちの一人「市松寿ゞ謡」とのコラボ曲。最期に急に「ピーナッツくん」とつくり手としての「ぼく」が交錯する曲が出てくる。ここまでのすべてが制作されたものという夢オチのような、それでいて中と外が混ざるような。
前作ラストでは決意表明のような歌詞、手術台で目を覚ますPVで終わったわけだが、今回ピーナッツくんはV界隈という都会をさまよいついには宇宙へと到達する。
ちょうどこれ書いてるときにアルバムからの新PV第3段が公開されてた。
ピーナッツくん - School Boy feat.もちひよこ / Album "Tele倶楽部" - YouTube
ちなみに第1段、第2段はこちら。
ピーナッツくん - 風呂フェッショナル feat. Yaca / Album "Tele倶楽部" - YouTube
ピーナッツくん - 笑うぴーなっつくん (Prod.nerdwitchkomugichan) / Album "Tele倶楽部" - YouTube
今回兄ぽこは映像制作の勉強も始めついにPVまでCGでつくり始めたのだがいきなりつくりすぎだろ。これから更に発展していくんだろうがマジでハイパーメディアクリエイターじゃん。